京都ひろくに屋通信9月号
京都は9月の下旬にはいり、日中は暑い日がありますが、朝晩は秋らしくなってきたなと感じられる様になりました。
秋と言えば、「食欲の秋」「スポーツの秋」など色々言われますが京都ではやはり「旅行(観光)の秋」ではないでしょうか。
流石にまだ、紅葉の季節ではありませんので、今回は寺社仏閣とは違う、京都の古い建物『レトロ建築』をいくつか紹介致します。
1928ビルは、鉄筋コンクリート構造の3階建てで、1928年に竣工しました。かつては毎日新聞社の京都支局ビルとして使われていましたが、現在はギャラリーや飲食店などとして活用されています。
この美しい建物は、京都市の登録有形文化財に指定されており、そのアール・デコのデザインが特徴的です。星形の窓、バルコニー、正面入口のランプカバー、そして床のタイルなど、様々なデザイン要素が見られアートや建築愛好家には特におすすめのスポットです。
1928ビルは、陶工の河井寛次郎とのつながりがあり、ビルの竣工年にいわゆる杮落しとして、ビルの一画で河井寛次郎の展覧会が開かれたのだそうです。
民藝運動の中心人物である柳宗悦や木工・漆芸家の黒田辰秋などと一緒にこのビルで工芸に関する座談会も行われていたそうです。当時の毎日新聞社の京都支局長であり、民藝運動の協力者でもあった岩井武俊との交流が深かったようで、このビルとも繋がりがあったそうです。
現在は、同時代ギャラリーが入居しており、アートイベントや展示会が開催されることもあります。3階には日本発×日本初のノンバーバル(=言葉に頼らない)シアター『ギア-GEAR-』が、建物の地下には豊富な料理やお酒、不定期でジャズや若手ミュージシャンのライブも楽しめる飲食店が入っています。
星形の窓
家邊徳(やべとく)時計店は日本で最も古い時計貴金属商の一つとして知られており、初代家邊徳之助によって創業されました。現在の当主は4代目で、その歴史と伝統は今も受け継がれています。
家邊徳時計店の本店は三条通りに面しており、明治23年(1890年)に初代徳之助によって築造された煉瓦石造店舗で、その美しさと風格は圧巻です。実は、この建物は日本最古の煉瓦造洋風店舗であり、その後ろにある典型的な純和風の京町家と共に、平成16年に国(文化庁)の登録有形文化財に指定され、その歴史的な価値が認められています。
家邊徳時計店 本店
大正5年(1916年)頃に建てられた旧不動貯金銀行京都支店の建物で、外観はロマネスク風で、円や四角といった簡略的な記号を駆使するセセッション様式になっているのが特徴。その真っ白な外壁と青銅色の屋根が印象的です。この建物は、当時の近代建築の魅力を感じることができ、京都の歴史と文化を感じる場所として訪れる価値があります。
このビルは、現代のテナントビルとして利用されており、様々なショップや事業が営まれています。「SACRAビル」を訪れると、近代と現代の融合を感じることができるでしょう。
屋根中央に飾られたメダリオンがカッコいい
京都文化博物館は、京都の歴史と文化を広く紹介するために創立されました。建物は京都府によって建設され、公益財団法人京都文化財団が運営を担当しています。
京都文化博物館の別館は、明治中期の代表的な洋風建築とされています。設計は日本の近代建築の父といわれる辰野金吾とその弟子の長野宇平治で、1965年(昭和40年)まで日本銀行京都支店として使用されており、1969年(昭和44年)には、国の重要文化財に指定されています。
この別館は、煉瓦造りの建物で、その美しい外観は見る者を引きつけます。内部には、当時の金融業界の様子を伝える貴重な設備が残されています。また、旧館はホールとして現在でもさまざまな展示やイベントの会場として利用されています。
撮影に行った日は三条通に面したウッドデッキで、作家さんの手づくり市「ぶんぱくアートマルシェ」が行われていました。10月14日(土) ・15日(日)にも行われるそうなので、レトロ建築を見るついでに寄ってみてはいかがでしょうか。
いかがでしたでしょうか。
今回は京都の三条通りにある国もしくは京都市に文化財として登録されているレトロ建築を紹介しました。
これらの建物は京都の近代から現在への橋渡しであり、次の世代に受け継いでいくべき貴重な財産だと思います。
紹介した建物はすべて三条通りの御幸町通りから高倉通りまでの約400mくらいの距離にあり、繁華街という事もあり今でも店舗やギャラリーなどとして利用されていますので、買い物がてらご覧になってみてはいかがでしょうか。
※中京郵便局も京都市登録有形文化財です。
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